ネットワーク構築編 Vol.3
「Wi-Fi設置しておいてください」から始まる、3つの落とし穴
「Wi-Fi設置しておいてください」
イベント現場でよく言われる一言です。 でもその“ひと言”の裏には、設計と準備のポイントがいくつも潜んでいます。
今回は、Wi-Fi設置にまつわる代表的な3つの落とし穴と、私たちアイテムが行っている対策についてご紹介します。
1:「とりあえずここに置こう」で失敗するアンテナ設置
Wi-Fiアンテナ(AP)は、置けば繋がるわけではありません。
失敗の多くは、「とりあえずこのへんでいいか」で設置したときに起こります。
実際にあった例:
・床に直置きして電波が届かない
・冷蔵庫や金属什器の横に設置し、電波が反射・吸収されてしまう
無線の性質を理解し、 高さや遮蔽物、電波の届きやすさを重視した設置が必要です。
私たちアイテムでは、
・APをトラスやパーティションにしっかり括り付けて高所設置
・会場レイアウトに合わせた配置シミュレーション
・必要に応じて、高所設置用の専用器具を自作
といった工夫で、電波の安定と効率を確保しています。
2:「電源はどこから?」が最後に発覚する問題
意外と見落とされがちなのが、Wi-Fi機器の電源確保です。
延長コードが届かない、そもそも空きコンセントがない、 それに気づくのが設置後――というのは珍しくありません。
Wi-Fi設置にあたっては、電源まわりの確保も重要なポイントですが、 私たちアイテムの強みは、自社の工事部や同時に施工している電気工事会社さんとも深く連携していることです。
電源配線や機器設置の工事が必要な場合でも、現場の状況に応じてスムーズに協力体制を築けるため、 トラブルの未然防止や迅速な問題解決につながっています。
また、PoE(Power over Ethernet)対応機材を活用しており、LANケーブル1本で「通信」と「電源」をまかなえることも大きなメリットです。 電源確保の手間やトラブルを減らすことで、イベント設営をスムーズに進めています。
イベントでは、電源を入れて機器を設置しただけで終わりではありません。 使われる環境や人の動きを考慮して、細やかな設定と運用調整が求められます。
3:DHCPのリース時間、長すぎない?
イベントでは、来場者数は数万人ということもありますが、 実際に同時にWi-Fiへ接続する人数は数十人程度にとどまるケースがほとんどです。
しかし一度接続された端末が長時間IPアドレスを保持したままだと、 IPが枯渇して新規接続ができないというトラブルが起きます。
そこで私たちは、DHCPリース時間を短めに設定しています。
イベントでは、常に人が居続けるのではなく、 一時的に接続して離脱する人が多いため、 IPを素早く回転させることで、限られたリソースを無駄なく使えるようにしています。
まとめ:Wi-Fiは“置いて終わり”ではない
Wi-Fiを「置く」だけで使えると思っていたら、痛い目を見ることがあります。
・設置場所が悪くて繋がらない
・電源が取れなくて稼働しない
・リース時間が長くてIPが詰まる
目に見えないインフラこそ、現場に最適化された細やかな設計と準備が不可欠です。
「Wi-Fi設置しておいてください」 そのひと言に、ちゃんと応えられるように。 私たちは、見えないところで静かに準備を重ねています。